「二頭出し・多頭出しは人気薄」の格言は本当か?同一馬主・同一厩舎で検証してみた

「二頭出し・多頭出しは人気薄」の格言は本当か?同一馬主・同一厩舎で検証してみた
競馬の格言のひとつに、「二頭出し・多頭出しは人気薄を狙え」というものがあります。
同じ馬主や同じ厩舎が同一レースに複数頭を送り込んでくるとき、勝負気配の強い「本命サイド」より、人気がない「伏兵サイド」の馬の方が走る、というニュアンスで語られることが多い格言ですよね。
今回は、この「二頭出し・多頭出しは人気薄」という格言が本当なのかを、同一厩舎の多頭出しと同一馬主の多頭出しの2軸から定量的に検証してみました。
データの定義
本題に入る前に、まずはデータの定義について。
対象期間は2023年1月〜2025年12月のJRA全レース、10,365レースが集計対象です。
「同一厩舎の多頭出し」とは、同じ調教師が管理する馬が同一レース内に2頭以上出走しているケース、「同一馬主の多頭出し」は、同じ馬主が所有する馬が2頭以上出走しているケースとします。
検証する指標は次の4つです。
- 勝率
- 単勝回収率
- 複勝率
- 複勝回収率
それぞれ「本命サイド(最上位人気の馬)」と「伏兵サイド(それ以外)」で比較していきます。
なお、対象期間のJRA全出走馬の平均は勝率7.3% / 単勝回収率71% / 複勝率22.0% / 複勝回収率73%。馬券の控除率の関係上、回収率は何もしなくても70%台に収束するのが一般的なので、この水準を基準に「上か下か」で見ていただくのがわかりやすいかと思います。
※JRAのレース結果を集計した独自のデータベースで集計しています。
同一厩舎の多頭出しを検証
まずは同一厩舎の多頭出しから見ていきましょう。
同一厩舎が2頭以上出走しているレースを抽出し、その中で最も人気がある馬(本命サイド)とそれ以外の馬(伏兵サイド)に分けて4指標を集計してみました。
勝率・複勝率ともに、本命サイド(9.6% / 28.0%)が伏兵サイド(2.0% / 8.5%)を大きく引き離しており、これは人気どおりといったところ。
回収率で見ても、単勝・複勝いずれも本命サイドの方が上で、伏兵サイドの複勝回収率は66%と全体平均(73%)より低い水準。
「厩舎の多頭出しは人気薄を狙え」という格言は、データ上ほとんど支持されない、というのが実態ですね。むしろ素直に本命サイドから入る方が期待値が高そうです。
同一馬主の多頭出しを検証
続いて、同一馬主の多頭出しでも同じ検証をしてみましょう。
勝率・複勝率はやはり本命サイド優位(11.6% / 31.9%)で、人気通り。ただ回収率で見ると少し傾向が変わり、単勝回収率は伏兵サイドが82%と本命サイド(70%)を上回り、全体平均(71%)もわずかに超えています。複勝回収率は本命74% / 伏兵75%とほぼ横並びです。
ただし、全体平均より少し上くらいの水準ですので、「ここぞの勝負」と言えるほど明確に期待値が高い訳ではありません。
厩舎のケースと比べればほんのり格言寄りのニュアンスは感じるものの、機械的に飛びつくほどの優位性はなさそう、というのが正直な印象です。
おまけ:メイショウの2頭出しは人気薄を買うべきなのか?
特に「メイショウの2頭出しは人気薄を狙え」をよく目にする気がする(?)ので、個別でチェックしてみようと思います。
対象は同じく2023〜2025年のJRA全レースで、「メイショウ」の馬が同一レースに2頭以上出走したケースを抽出しました。
回収率でみると単勝でも複勝でもメイショウの2頭出しはむしろ本命サイドが優位ですね...
この格言も、少なくとも2023〜2025年のデータを見る限りは鵜呑みにはできないでしょう。
まとめ
ここまでの結果を整理すると、こんな感じになりました。
- 同一厩舎の多頭出し:伏兵サイドは勝率2.0% / 複勝率8.5%と低く、単回71% / 複回66%で回収率面でも全体平均以下。格言はほぼ支持されない
- 同一馬主の多頭出し:伏兵サイドの単勝回収率は82%と本命サイド(70%)を上回るものの、全体平均(71%)から大きくは離れない水準
全体で見ると、「二頭出し・多頭出しは人気薄を狙え」という格言を強烈に支持するような明確な差は、馬主・厩舎どちらもそこまで出てこないのが結論かなと思います。
次回は「夏は牝馬を買え」の格言を検証してみようかな...





